2012-01-01から1年間の記事一覧

オヴォワー、アデュー、グッナイ

今年のレコード・オブ・(マイ)イヤーは間違いなく『TADZIO』だと決めつけていたら、年の瀬ギリギリになってすべり込んだ大阪は堀江のアイドルに取って代わられた。夢中のあまり現地まで行き二日続けてイベントに参加したが、実際は行きの高速バスで風邪を…

たかが恋

「誰に投票したの?」と訊かれたら「大島優子」と答える。俺だって戦争はしたくない。それよりこの雨をどうするべきか、君が募金箱を抱える時間でアルバイトをしたほうがいくらかいいと思うし、傘があっても行く場所なんてどこにもない。合法的エイリアン。…

ブリーディング・ハート

筆者Bの場合「お待たせしました」 彼女は店員に会釈をすると、その泡が可愛くデコレートされたコーヒー(僕はそれの正式名称を知らない)の写真を撮って、画面を見つめて微笑んだ。 「それでね」 彼女がコーヒーに砂糖を入れてスプーンでかき混ぜる。描かれ…

ナチュラルスピード

この地上のデジタルと暴力。「これだけ毎日人身事故が起こっているのに、不思議と『見た』という人に会ったことがない」と言うと、出会ったばかりの友人が黙ったまま俺を見つめ、頷くジェスチャーで返す。ナントカ駅に放たれた狂人は、ホームの線路で土下座…

スウィング・ガールズ・マイルス

レジデンツが比喩ではなく100万ドルのボックスセット、もとい冷蔵庫セットを発表した(本当)その頃、本音を言えばそんなやつらほとんど死んでくれ(笑)と思っていた新宿の路上で素晴らしいバンドに出会うことが、宵のジャズチークパーティーへの参加がキャ…

プワゾン

震える手で握ったカッターナイフを電話のベルによって下ろすように、今ある感情をさらけ出すのがこの場合なら、愛想を尽かされるほど(爆笑)日記が書けなくなってしまったのはどういうわけか、遭遇した高速バスの事故が俺を変えてしまったのか、あるいは関…

まごころを、君に

あなたがこのまま不誠実に生きるならば末にはそれらがハネ返って孤独死だ、それでもいいのかと友人に訊かれ、首を振って刻んでみたはいいが、やっぱり自分は薄情なやつであるらしい。もしくは言い訳するなら言語感覚が違うんだよって、こうしたニュアンスだ…

チューブラー・ベルズ

休みの京都を過ごしてそのまま神戸に来たのはいいけれど、ホームシックでもなく電話したい心境はそのままぶつけていいのかわからない。素直に受け止めるなら、今更湧いてきた申し訳なさに泣きつくだろうか、謝りながらもこうして日記を書くなら可笑しくて、…

煙は下らない

日記を書かなかったのは意図したわけでも死んでたわけでもなくて、むしろ生きた心地があったなんて認めたくはないだろうね。おはよう。こんなところで書けることなんてひとつもないし、息を吸って、息を吐いた、全体重をもたれさせたわけではなく、ただ寄り…

論理と哲学の羊たち

東京に対する新鮮味が薄れてきた、かどうかわからないけれど、ここにいるという実感は車のナンバープレート見ることでしか思い出すことがない。憧れ、あるいは憎悪の対象としてしばし語られる東京は、『私』にとってどんな場所だっただろうか。(5点)新宿で…

トゥイードゥル

アンテロープ。そして解放。『モテキ』を観たあだちくんがゲレゲレにされた理由がどっちかはわからないけれど、それに揶揄された平手打ちの夜は転がってみたりした。これは復讐なんだ。そう言う俺のシャツには返り血がついていて、それは大根の切り身で裏か…

不安定な人びと

いっそ東京で自殺したことにしてくれないかなと思う。踏切から聞こえるガタガタという音は俺を引きずって走る音、あるいは公園でギイギイと聞こえる音はブランコのそれだったのかな。ローカルテレビ局に数万円支払って「今日未明……」と放送してくれるのなら…

ガソリンのプール

あんたはきっとそんなもの必要ないって言ってくれる。けれども、それが求められる世界も存在するんだよ。そしてその人たちに苛まれながら生きていく、あの田舎でも、この都会でもダメなら、タイへ行っても堕落の道しかない。あの時始めた深呼吸に罪悪感を覚…

アザー・ワン・アナザー

もう一つの仮定、あのとき俺がもっと踏み込んでいたら、今のこの状況はもっと明確に罪を重ねたと認識できるのだろうか。 無理やり逆さになったときでも怒りを覚えない。そんな俺が喧嘩を売れるのならば教えてほしい。あるいはスペイン語。息を吸って吐きなが…

イズ・インターナル・セクション

多分きっと忘れていないことは会えばまた思い出す。いやな気持ちは込み上げない。けれども食後にはまた思い出す。彼氏に車のボンネットへ頭をガシガシぶつけられた子の例は大袈裟だとしても、本当に落ちてしまったらしょうがないよね、という話はシクシクと…

シープ・オブ・ラム

これは誰のストーリーなのか時々わからなくなる。別に何にも興味がないんだって顔で通り過ぎた、傍らにいるティアラを着けた少女に目をやる矛盾は俺を苛むことはない。ガラムによってシーシャの香りを思い出せば、あれもこれも誰かを裏切るつもりのことでは…

バカでもいいんです

東京に出てきてヤクザにでもなろうかと考えていたが、ゆくゆくの指詰めを考えると怖ろしくて考え直した。それでもロクでもないくらしを送っているのは確かであって、今となっては千円札が財布に一枚、そして借金を10万円もこさえてしまっている。電車に乗り…

イグノレ

行く先々で盗みをはたらけばこいつが俺の悪い癖なのか、それはちっとも褒められないし、人びとだって呆れる頃だ(俺にはわかる)。鉄砲を構えられることも珍しくない。あんたも俺も嘘つきだ。だってここはメキシコじゃないんだぜ。生活はくだらないやつによ…

電話しないでね

誤解しないでほしいんだけど「ヘンだね」ズレてるねというのを指摘され、だけどもそれを自覚するのが可笑しくって「別に」なんて返してみるが、いざ、こざに巻き込まれ、それにまつわる違和感に否応なしに感じたところ「哲学がね」なんて説明するのがバカバ…

ツイストでボヤージュ

タイでの暮らしをおよそひと月終えて帰ってきた。月並みな感想、気づけばあっという間であった。 ひたすら堕落しているような毎日だった。そしてあそこはそういうぬるま湯に耽溺しに行く場所なのだとも思う。 そして今、東京での一週間が過ぎたか過ぎないか…

ネームレス・ソウル

店内を幾度か廻るたび、微笑みかける女がいた。 「もう帰ります?」 「ちょっと待ってくれ」と友人に伝える前に振り返り、彼女の前で立ち止まる。それから試みが始まって「アイラブユー、ユーラブミー」というつたない英語に「ビコーズ」と返す。階段をあが…

どこに、どこで、どこ?

「おう、やろうぜ!」 と言って半分思いつきで友達に頭をモヒカンに刈ってもらったはいいが、日本に帰ったら仕事を探さなければならないので短い命になりそうである。バリカンは路上で知らない人から借りた。 「いくらですか?」 「タダでいいよ!」この頭で…

努力してね

思い込みの世界は時々崩れてしまう。3人までで4人はよくない。バスの車窓からネオンを見ると、お金を払って優しくされたことを思い出す。きっとそうしなければならない。残酷だって思うのがひどく身勝手な心地にさせるので、よせばいいのに弁護を始める。そ…

イントゥ・ザ・ホロウ

パンガン島のフルムーンパーティーに行ってきた。 月イチで行われる割とデカいイベントであって、『セックスパーティー』とも揶揄されているらしい。会場に向かう途中のコンビニで「犯して(原文も日本語ママ)」とペイントした欧米人に出会って「どんな乱痴…

オープンマインド

バイクを借りて海沿いを走る。1日150バーツ。 「おっぱい当たってますよ」 男二人で乗っている。 日本料理店に行き、日本人のマスターにうまくバンコクへ帰る手段を訊く。 「何でも訊いてよ」 寝台列車、あるいは来たときと同じく船とバスで12時間。彼はハッ…

ハッピーか? パート2

「忘れ物はないっすか」 そう言われてもマトモな判断ができる自信がない。俺はひとかけらの正気を掴みながら、入れ忘れたものをカバンに詰め、大きくため息を吐いてからシリンダー錠の数字を廻した。 きっと大丈夫だと思うほかない。そしてこれからバスの出…

ハッピーか?

俺の場合は正気の沙汰との闘いであった。気を保つように頑張った。床に敷き詰められたタイルひとつひとつソレゾレが1ブロックの街並みのようであったし、そこの隙間に存在するホコリやゴミは群衆や車であった。そしてやがてその街並みは100エーカーの麦畑へ…

時にあわれなやつら

利用されてるような人、といえば言い過ぎなんだけど、不健全な関係が存在するときがあって、それはそれで気持ちを受け止めてあげているんだから悪くないのかもしれない。俺は特別な理由をつけた。騙したつもりもなく、あんたが騙されてるんだとも言えない。…

ゴーゴーバーへ行こう!

同じ宿に泊まる人に案内されつつゴーゴーバーなるところへ行った。 カンペキにイメージとしては『女の子とゴーゴーダンスを踊る場所』であったが、実際はそうでなく、どころか、かけ離れすぎて「えーっ!!」と思う前にただポカンとしてしまった。タクシーか…

誰も知らない

気がつけばそこは東京で「ダメだ、帰らなきゃ……でも航空券代が……」と目覚めると、そこにはベッドがある。そうしてここはタイだと撫で下ろす。 (ほぼ)日本人宿に身を落としてるのは自分の選択なんだけど、そこでもハッキリとしたグループができつつある中に…