不安定な人びと

いっそ東京で自殺したことにしてくれないかなと思う。踏切から聞こえるガタガタという音は俺を引きずって走る音、あるいは公園でギイギイと聞こえる音はブランコのそれだったのかな。ローカルテレビ局に数万円支払って「今日未明……」と放送してくれるのなら。

このひとつのストレスを消すためにはあの全部を捨てなければならないんだろうな。それどころかすべてを失うような心地であって、仕舞っておいた遺書を開けてみるとやっぱり簡単な一文だけが書かれている。
「さようなら」
なんて、そんなものじゃなく「愛してる」とも書いてない。俺は思い出してみる。