イントゥ・ザ・ホロウ

パンガン島のフルムーンパーティーに行ってきた。
月イチで行われる割とデカいイベントであって、『セックスパーティー』とも揶揄されているらしい。会場に向かう途中のコンビニで「犯して(原文も日本語ママ)」とペイントした欧米人に出会って「どんな乱痴気騒ぎが……」と恐る々々会場入りすると、そこではもうあちらこちらであんなことが……ということもなく、奇声をあげてカクテル入りのバケツ片手に踊り狂う欧米人の群れがあるだけであった。

結局何もしないまま不貞腐れて帰るのもシャクなので、「とにかくハグしまくってみよう」とイエーイだのなんだの言いながらハグしまくった。内、女性は一人であった。

すでに昨晩も別のパーティーがあり、そこでも特に楽しむつもりもなく(というかそんなに楽しめると思っていないし、欧米人と行きずりのセックスができるとも思っていないので)独りきりで適当に帰るつもりであったが、たまたま出会った日本人のE子ちゃんのおかげで朝までダンスしていた。
「よかったら帰国してからも会ってください」
仲間内でも俺は「きっと独りで早めに帰るだろう」と予想されていた、かつ一緒に行った仲間にはそういうことがなかったので、この結果は万馬券レベルの痛快な想いであった。

そんな感じで昨晩の充分なダンス疲れもあるし、そういう出会いもあったので特に今回は求めるものもなく、2時間ほどで割高な露店のピザを食べながら帰ることにした。
モリッシーの歌詞のような悲壮も特に無い。ニール・ヤングのような豊かさを持って宿に帰ると、既に酔いつぶれて眠っている仲間の姿がひとつあった(正直を言えばそれによって俺の厳かな時間と計画が崩れてしまった)。