2017-01-01から1年間の記事一覧

デートらしいデートのブルース

雑な愛情(ぽいもの)を振る舞い続けるうち、何が何だかわからなくなるよとかつて言われたそれを「かも」と思いつつ、カップとソーサーを買って包んでもらう、こういうのがトリガーになるんだろうかと考える。表題のそれを、20年ぶりかも、と、20歳下の子と…

名前も知らない

食べに行って後悔したものを覚えているし、結果的にそうだったものもある。食後に素性を訊ねた答えに今更苦笑してみると、翌日も仕事に行かなきゃならないとは信じがたかった。他人に寄せない、まして性別がつけば直前になってナシと言い出すのもよくある話…

まぼろしの人間

本来はキーボードでもってササっと書き上げてしまいたいが、アイフォーンにて小賢しく指を動かしている。パソコンは以前ワインをこぼして壊してしまった。その断末魔のようなファンの叫びをよく覚えている。友人と酒場を5軒ハシゴして帰る。あの叫びほどでは…

二度と辿り着けぬ場所

騒いでいた頃を思い出すときには楽しかった、があって、それを珍しく後悔することもないけれど、いつかあなたの知らないところでこういうことがあった。実は。と聞かされたとき、ひどく恥ずかしい気持ちになったのが今でもある。女以外が幼稚だったなら、い…

南風月のエッセイ その4

先日、口内のガーゼを交換する処置では本当に看護師の手を握らせてもらったぞ。言ってみるもんだ。ビニール手袋越しだったがな。 「次回は恋人繋ぎでお願いします」 しかし相変わらず処置は痛かった。思ったよりも症状は悪かったようで、退院予定日は想定し…

南風月のエッセイ その3

久方ぶりの入院生活が始まった。 悪くないな。足が不自由だった前回に比べればずっと快適だ。綺麗なコンビニだってあるし、あまつさえスターバックスコーヒーだってある。食事だって美味い。しっかりとしたチャーシューの載った冷やし中華なんて、そんなもの…

南風月のエッセイ その2

大学病院は盛況と言っていいものか、待合の椅子に収まらないほどの人数が溢れていた。 まあ大抵の場合、病院ではしばらく待つことになるのはわかっている。職場へ連絡を取るなどして待っていると、1時間ほどで名前が呼ばれて通された。「入院です」 やはり、…

南風月のエッセイ

「ひどい咽頭浮腫です」 そう診断されたのは月曜の朝だった。 身に覚えがないのだが、前日の夕方に突然喉の違和感が出て、夜には唾を飲み込むのも痛みが伴うようになり、それでほとんど眠ることができなかった。 すがる思いで行った病院で薬を処方され、それ…

血液

夜が明けていた。 かつてネイヴィー・シールズが「人が働き始める時間に俺たちは帰る。最高の仕事だ」と言っていたが、この瞬間はそうだな。 夜中に働く人間がどこかおかしくなっている様を何度か見てきて、少しばかりの同調を覚えるのは、薄目でグループラ…