スウィング・ガールズ・マイルス

レジデンツが比喩ではなく100万ドルのボックスセット、もとい冷蔵庫セットを発表した(本当)その頃、本音を言えばそんなやつらほとんど死んでくれ(笑)と思っていた新宿の路上で素晴らしいバンドに出会うことが、宵のジャズチークパーティーへの参加がキャンセルと相成った代わりと言ってはなんですが、という、神様の気まぐれだとすれば、その日時にわずかの都合をつけてほしい。

今夜もゴミ箱はいっぱいだ。溢れたヂグヂグの液体が街灯に照らされ渋く光る。彼女らがジャズを選んだ理由は血を流した必然でもなく、山形県で育ったアイデンティティーはウォルマートとケーブルテレビでズタズタにされ、12歳で覚えた酒、タバコ、そして父親によって完ペキに壊された。青春の夕日が差し掛かるころ、ソファの裏から男の首へ紐をかける、その絞るような金切り声があんたの涙、そしてサキソフォンだったらよかったのに、所詮そのアイコンはローカル鉄道と空っぽの方言でしかない。

ガールズ、及びにボーイズ。新大陸で見つけたものはスパイスの加減にすぎなかったのか、あるいは性的嗜好の拡大、お有難くもストレンジな肩書き、ゴムのかたまり。あんたを認めなければ世界は変わる。不健全になった、もしくはずっと前からそうだった関係は、ロンドン、東京、ニューヨークシティーを廻っても見つけられない、知ろうともしない価値観を、香港、スペイン、マドリードを廻っても見つけられない、知ろうともしなかったから。