イグノレ

行く先々で盗みをはたらけばこいつが俺の悪い癖なのか、それはちっとも褒められないし、人びとだって呆れる頃だ(俺にはわかる)。鉄砲を構えられることも珍しくない。あんたも俺も嘘つきだ。だってここはメキシコじゃないんだぜ。

生活はくだらないやつによって崩されがちだ。田舎は退屈に飢えている。笑い方もぎこちない。誰があんたを勘違いさせたか、親も子供もそれを否定できない。だから俺は陰から「バカだね」としか言えないよ。そして理由を求めるんだ。

本当にどこへも行く気が起きないときはどれくらい眠ったらいい?量子力学の観点ではその日を待たなくてもいい。口を閉じたまま、厳かなサルになる。ホールドアップの声で目を覚ましたら、俺のポッケからは財布とパスポートが抜かれている。それが可笑しくって、「しょうがない」と言ったのはあんたを愛してるからじゃない。決して。