どこにも呼ばれない手紙

プラスにプラスにしたりマイナスをよりマイナスにすることはあってもそれ以上はお金を使うくらいの意味しかないとタワレコへ向かう足を引き返したり、季節柄の物欲について馳せてみて、あれもこれも手に入れた先に週末の気分が晴れるかといえばそんなことはないと思う。
本来は空かすほどではない手をかざすと周りのものをバラしては組み立てるのが癖だと最近になって気づいたが、ときおり元に戻らなくなる。比喩でもないが人間関係の悪癖も同じだったのかもしれない。まだやれる余地。成り行きで作ることになったグループトークは酔った勢いだったと思わせる結果しか返ってこない。「だからそう言ったじゃん」と思っている。もしくは自分がすべて悪い。誰もがあなたに会いたいと思っている。

「あなたの文章は読み手の判断に委ね過ぎている。それにややこしい表現。そういうものが好きなんだということはわかります。もしくは、本当のことが言えないんでしょう?おそらくは自信がなくて」
アドバイザーの女の一言には思わず膝を打ったが、相変わらず筆が進まない。
一方で「決まりました」という同期を見つけると、彼女は前向きな話を進める。なんとなくそれをぼんやりと眺めてしまう。
「しっかりしてくださいよ」
週末のランチの店をどこにするかもまだ検討すらついてない。実のところそんな場合ではないはずなのに、アポを取ってしまった。