あちら側の東京

酔ってても酔ってなくてもロクなことはすべきではない。ほんの寝しまの一時間を悔いることもある。ひとりでも上手に飲める場所が見つかるだろうか。ガブガブと飲めるお酒を作るようになると、家にいても慎重になる。
「どちらから来たんですか?」
挨拶へ正直に答えたら、一箸つけて美味しいですねと褒める。
「ウチの店、頭おかしいですから」
他の店と違って採算考えてないので、など。
アーと笑って返すと、オレが話に付き合うハメになる。こういう店の男はいちいちマウントを取ってきたり興味のない話をしてくるなぁ。
「やっぱ女の子の店員入れなきゃダメっすねえ」
そうとも言えない。
「このあとどこか飲みに行くんですか?」
「特にないです」
「えーっ!」
店の周りにはガールズバーが溢れている。
「そういうの好きじゃないんですよ」
「それが正解っす」

驚くような美人を見ることもあれば、その途中の人も見る。そちら側へ行くパスのようなものもある。髪型が崩れた人はそれを悩んでいるだろうかと思う。
結局のところオレが興味あるのは3つだけ。結婚のこと、狂っていく男たちのこと。人知れずSMSをやめた男たちは変わらずどこかで狂っているだろう。今夜の食事を知らせてくれ。どこからがスタートなのか?遅かれ早かれ、みんな、太った少年に餌を与えているのだ。