スタークア

「信用してるからお話をしますけど」
そして彼は(ああ……まさか本当に……)ビジネスのことを確固たる自信をもって語った。これでは俺が直前に吐いた「将来は老人に浄水器を売って生活するよ」という冗談がカンペキな皮肉になってしまったね。どうもこうもないわけだし、きっと俺の母親だって友人だって、きっと客観的な自分だって「ノー」と言うだろう。他人のハナシであれば暴言のひとつも添えてみせるが、彼は本当に俺の将来を案じてくれたのかもしれないし、もしくは彼だって駒の一部かもしれない。俺は「それがうまくいったら教えてくれ。そのときはおめでとうと言うよ」と返すと、彼は「まあ、成功しますけどね」と言った。
いくつかの気まずい時間。すると女給さんが測ったようにお茶を運んできて、「ルノアールではお茶が出るんだよ」と切り裂けば、彼は「なるほど、そういうふうに考えられたタイミングが……」といったフェースブッカーのような口ぶりをする。

疲れた人たちばかりを見る。
ごうんと走る車はたぶん病院と変わらないし、「あーあーあー」と口にしながら呆けてみたり、この中のどいつが悪人かを探している。メード喫茶にて知らないメードさんの卒業式に参加して、するりと「卒業おめでとうございます。がんばってください」と挨拶すると、彼女はお礼の手紙をくれた。みんなに配ってるものだけど、初対面の俺に、なんだか申し訳なくて、それは開けずに置いてある。

わかってほしい。