ビューティフル、プリティー、ワンダフル

東京に東京を感じることがいよいよ鈍くなってきたのに、六本木の交差点は無神経に流れている。僕はエイリアン。法律に認められただけの異邦人。もうきっとこの街でわかり合えるのは外国人、それもダサいプリントシャツを着たような、とびっきりのナードしかいない。けれどお前の居場所はここじゃなく、朝になったらメトロをまっすぐ行ってしまう。

角に立つ客引きの女は何時間もそうして仕事をしている。待機で呆ける「俺もそうだよ」という視線を送ればバカみたいだし、せめてできることは優しいツラしたお節介から諭される姿に「辛いね」といった同情を送ることくらいで、どうせ互いの世界は水と油サナガラで、そうした俺のむなしさはアーバンなアイドルが救ってくれると信じてる、なんて、冗談でしか言えず、全ては虚ろ、まぼろし。けれどもそれがいったい何を指すのか、ハッキリしない。

心斎橋でも嫌気がさして、からがらネットカフェーに逃げ込んだ。誰のためでもないシャワーの時間にリラックスした顔を浮かべてみるけど、それもバカみたいだね。困窮、困窮。インターネットに呪詛や自虐を綴ってみても、誰かが後ろから抱きしめてくれるわけでもない。俺は否定する。