そのうちの一人

何もしない休日をモラトリアムのまま過ごし、数時間の睡眠を済ませて覚ますとそこには朝日が差し込んでいる。腹の立つ日中のマクアケ、せめて憂さを晴らすために自転車を起こして走り出す。山道に打ち棄てられたブルーシートの被った死体を横目に、俺は少しばかり耽った。

茶店に入ると、どこかの老婆による卵を割る恐ろしいサウンド、頭蓋をぐちゃり、同じように自分も目の前の殻を割って、我々はなんたるツミビト、二種類のドラッグに俺は混濁していく。オレンジのかけらにかぶりついたら俺はアベル、あんたはカイン。昨晩のことを思い出したらいっそう××。隣の客がロジック・パズルを解いている。そんな感じで……。

――ああ、少しばかり自分を見失っていたようだ。気づけばスピードメーターは300km/hを指している。数時間後にはローゴクに入れられて、誰も……とりわけ、シャーロット・プリングルは今日もやってこない。