代わりの人

代わりの人がやってきて、わたしは目を覚ましたのであった。
狼狽はしたが、汗はかいていなかった。のは「まぁ」と心のどこかでそれを納得していたからで、しかしながら冷静になるとイヨイヨ社会からまっ殺されてもおかしくない状況だっただけに、今更ながらジタジタと恐怖を覚えた。

わたしの部屋の一部だけ色が違う壁を見ても彼 は何も思わなかったか、あるいはわたしが想像してるよりもずっと大人、もしくは賢かったのか。それだけに何を考えているかがよく判らなくて、いつものように「あっ」とセイベツ、というか「ああ人間だ」と気付くように、わたしはまた床を舐めたりして誤魔化すのであった。

警察から質問を受けるとき、きっとわたしは知らぬ存ぜぬを繰り返す声が震えて、あの大人たちに何もかも、やはりまた戒律云々をささやかれて罪をしょって、ややこしい事を書いては夢を見て、なんてあはれな気分、を、味わえばよいのか。