支配

日曜礼拝の神父に会った時の事、このちゃちな教会(作り物!)はまるでゴッコ遊びで、わたしと彼、少なくともわたしは彼に付き合う為にわざとらしい役を演じているようで、我ながら滑稽だった。
彼の目は真剣だったか、よく覚えていない。のは、彼の左手の潰された親指に気を取られていたからで、わたしは(やっぱりわざとらしく)どうしようもない事を吐露してみたんだけど、その説教は終始上の空であった。
彼はダンプカーにはねられて死んだ。

数年後、わたしの元へ家出少女が訪ねてきた時、わたしは彼の事を思い出していた。あのちっぽけな教会は何の象徴だったのか分からない。それなのに少女の年齢を聞く事でさえも邪悪に思えた。
彼女は本当のところ、わたしに興味がないんだろう。知っていたけど知らないフリをして首に手をかけると、その時突然崩れてしまい、わたしはどうして彼女を拝むようなカタチになったのがどうにも気まずく、あの神父の今わの際の言葉のように「××××」と言ってみたが、彼女は笑っていなかった。