お好きになさい

思うに、あんたはインターネットの自分がために人生を犠牲にしすぎているんじゃないの。どっかのタイミングで虹の向こう側に行ってしまった人と、それを眺める人たちもまとめてゲレゲレなるし、今履いてるスニーカーもいくらかくたびれてしまって、それで次にまたスニーカーを買う、みたいのがもうヤダなと思うけど、何より、漂白剤みたいなものに漬け込んだせいでコーティングが剥がれたかなにかでズグズグになってしまったことが一番マズった。比喩ではなくて。

クリーニングを取りに行ったら定休日だった。くだらない川柳大会みたいなこともある。これは止まないだろうと思ってた雨が午後には止んだが、もっと――なんて言うか自分が得意なことについて話してほしい。マンションのゴミ捨て場で見たものとかじゃなくて……。頼むからもっと普通に喋ってくれ。

会えばきっと今日の湿気で髪がグチャグチャだと言うだろう。でも本当に問題ってそれだけなのか?テーブルにはミネラルウォーターがペットボトルが置いてあって、グラスを頼むべきか、家庭的な食器棚を眺めてやめる。
「お客さん飲食の人ですか?」
いいや。
「入ってきたときの目の運び方とかがもしかしてそうかなと思いまして」
いいや。
「飲食の人って講釈垂れたりするからめんどくせーんですよ。こないだもそういう人が来て帰ってもらいました」
美味いけどもう来ないと思う。