地上のダメな人びと

遙か空に旅客機

――を、電車から見上げた。
「タイのビザはございますか?」
家に帰ることになったのはそういうわけだ。
あまりにも情けない。恥ずかしい。昨晩あの子に送ったメールを「取り消せませんか」とauに電話してみたがそんなことができるはずもなく、俺はただただ苦笑されてみる(ハハハ)。

両親や周りの人たちに嘘をついたような気分がある。あるいは「やっぱりな」と。布団の上は懐かしくもなんともない。思い切り逃げ出したい気持ちは(当然)あるのに、どこへも行きたいと思えない。情けないメールで誘ってみたら、車を人気のない山道に停めて縋りつくくらいで。